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英語の発音練習の大切さ 日本人のカタカナ英語は通じない

日本人の英語の発音は下手


日本人の英語の発音は、かなり下手で日本人の英語が通じない最も大きな原因になっています。「Thank you」を「サンキュー」、「センキュー」などのように日本語の文章でカタカナ表記される通りに発音してしまう、いわゆる「カタカナ英語」では、日本人が想像する以上に伝わらないものです。

ネイティブでない限り多少の訛りがあるのは当然で、訛りがあっても英語をしっかりと伝える事はできます。しかし、日本人のカタカナ英語は「多少の訛り」といったレベルではなく、本当の英語とは、ほとんど別の発音になっています。

「日本人が英語の発音は下手で英語が伝わらない」という事実は、よく知られていますが、英会話を習得したいと考えている人の中でも、真面目に発音練習に取り組んでいる方はごく少数であるように感じます。

なぜ、英語を話したいのに発音練習をしないのでしょうか? 一番の理由は、英語の発音が下手と何度言われても、その事実をちゃんと実感していないからだと思います。

そこで、ここでは日本人の発音がいかに下手で伝わらないかという事を中心に、発音練習がなぜ大切かについて説明していきます。


1.カタカナ英語では通じない


日本の学校教育では、発音練習が軽視されていますが、しっかりと「通じる英語」を習得するためには、不可欠な練習です。

カタカナ英語が通じるのは、相手がこちらの言っている事を予測できる場合だけで、そのままでは複雑な会話をする事は困難です。簡単なあいさつ、ホテルの受付など受け答えの種類が限られている場面なら発音が悪くても理解してもらえる可能性が高いですが、フリートークでは、理解してもらうのは難しいです。

日本人の英語に慣れていないネイティブスピーカーと会話をするのであれば、カタカナ英語では中々通じません。

2.想像以上に下手な日本人の発音 


外国人の方の日本語を聴いていると、やや聴きとりにくい事はあっても、全く意味が分からない事はほとんど無いはずです。外国人の日本語の発音が比較的上手いので、多くの方は日本人の英語もこの程度の(聴きとりにくいけれど理解できる)レベルの発音だと想像してしまっているのだと思います。

残念ながら、それは大きな間違いです。日本語は比較的簡単に発音できる言語であり、英語圏の方なら一日かからずに、五十音全てを理解可能なレベルで発音できるようになると思います。ところが日本人が英語の発音を習得するには、かなりの時間と努力が必要です。

この最も大きな原因が発音の数の違いです。日本語の母音は5個なのに対し、英語は20個、日本語の子音16個に対して英語の子音は24個(数え方により多少数が変わります。)で、日本語の方が圧倒的に発音の数が少ないです。

英語の母音は二重母音があったり、「イ」と「イー」のように短く発音する母音と伸ばして発音する母音を違う母音として数えたりしているので、単純に日本語の母音数と比較する事はできませんが、それらを差し引いて少なめに見積もっても英語には日本語の倍程度の母音があります。

発音数が多い言語のネイティブが少ない発音数の言語を話す時は簡単です。ただ使う発音の種類を減らすだけでもなんとかなります。ところが、この逆、日本人が英語を習得する際は、新たに発音を覚える必要があるので、練習を重ねてやっと理解してもらえるレベルの発音ができるようになるのです。

3.カタカナ英語の世界を体験 


英語には、日本人に「あ」と聴こえる音だけで、少なく見積もっても3種類あります。これらをほとんどの日本人は全て日本語の「あ」で代用して発音しています。これが、英語圏の人たちにとってどれだけ分かりにくい事なのか、聴く側の立場になって、ちょっと考えてみましょう。

例えば、ある国の言語では、母音の[お]と[う]の発音が無く、代わりに、[う]に70%、[お]に30%くらい似ている「[お]にちょっと近い[う]」という感じの発音のみがあったとしましょう。その他の発音は日本語と同じだとします。

その国の人が日本語を習いはじめたとすると、日本語の母音[お]と[う]を全て「[お]にちょっと近い[う]」に置き換えて発音しようとするはずです。(日本人が英語の3つの母音を全て「あ」で代用するのと同じ事です)すると「おはようございます」を言おうとすると、日本人には「うはゆぐざいます」に聴こえるような発音になってしまうのです。彼ら自身は、間違っている発音だという意識はあまり無いはずですが、日本人からすれば、かなり聴き取りにくいですね。

しかもこの例では、母音を5個から4個に減らしただけで、子音は減っていません。カタカナ英語では、もっと沢山の母音と子音を減らす事になるので、この例よりもはるかに酷い発音になると言えるでしょう。カタカナ英語の特徴である母音、子音を日本語と同じにする行為がいかにネイティブに取って理解しにくいかが分かって頂けたでしょうか?

しかも、英語と日本語では、ほとんどの母音、子音の音は完全に一致している訳ではありませんので、ネイティブスピーカーがカタカナ英語を理解するのは更に困難になります。カタカナ英語で通そうとする事は「うはゆぐざいます」以下の発音で理解してもらおうとする事なのです。あいさつ程度ならこれでも通じるかもしれませんが、複雑な会話を理解してもらう事は困難だと分かりますよね。

それから、英語では子音を単体で発音する事が多いのですが、日本語では子音は必ず母音とセットになっています。そのため、日本人は子音を単体で発音する事ができず、子音の後に適当な母音を足してしまう癖があります。

例えば、「t」の音を「tu(トゥ)」や「ta(タ)」と発音してしまうのです。このように余計な音を加えてしまうため日本人の英語は、より聴き取りにくいものになっているのです。

さらに、実際には発音の問題以外にも文法、単語の使い方等、その他のミスも加わりますので、カタカナ英語では上手く伝わるはずが無いのです。ですので、発音練習は英会話の上達において非常に重要になります。

4.発音ができれば聴き取りもできる 


発音が上手くできるようなる利点は、スピーキング時だけではなく、リスニングの時にも現れます。

やっかいな事に、人間の脳は、聴いた音を自動的に自分の言語の音(日本人の場合は五十音)に分けて認識してしまいます。ですので、日本人は何度「B」と「V」の音が違うと教えられても両方とも「ブ」という音としてしか認識できません。そしてこの自動認識する機能は、相当に根強く、簡単に無くしたり、変えたりできるものではありません。何千時間英語を聴いたとしても、それだけでは、英語の母音、子音をしっかり識別できるようになる可能性は極めて低いのです。

英語を聴き続けていれば、前後の文章から推測して判別できない音を推理できるようになるため、それなりに言っている事を分かるようになります。日本人が判断できない音が一つや二つなら、この文脈から推理する方法でもあまり問題はありませんが、実際には数多くの音が判別できないため、この方法では限界があります。

根本的にリスニング力を向上させるには、英語の母音と子音の一つ一つを判別できるようになる事が必要で、そのためには、まず自分で英語を正しく発音できるようになる必要があります。

正直に言うと、私自身もなぜ自分で発音できるようになると聴き取りもできるようになるのか、完全には理解できていませんが、発音練習によるリスニング力向上の効果は絶大です。おそらく発音練習をしていく内に、音の自動識別機能に英語の発音を加える事ができるのだと思います。

自分で英語の母音と子音の一つ一つを区別して発音できるようになると、自然とリスニングの時も一つ一つの音を区別できるようになり、頭の中で分からない音を推理する作業が減っていくのです。今までは、推理作業のために頭をフル回転させなければならなかった分の負担が減り、かなり楽に英語を聴き取れるようになります。


通じる英語を話す事とリスニング力向上にも役立つ発音練習をぜひ時間をかけて行ってください。ただし、ただ英文を聴いて、それを真似して発音する練習だけでは、あまり効果は得られません。

その方法でもイントネーションは良くなると思いますが、母音、子音をしっかりと発音できるようになりません。まずは全ての母音、子音の一つ一つを正く発音する練習が必要になります。詳しい練習法は「正しい発音練習法」の所で書いていますので、こちらをご覧ください。


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