カラオケ　腹式呼吸のやり方　練習法

腹式呼吸とは？

人間の呼吸法は腹式呼吸と胸式呼吸の2種類に分ける事ができます。

腹式呼吸とは、息を吸う時にお腹が膨らみ、息を吐く時にお腹がへこむ呼吸法です。腹式呼吸では、主に腹筋が働いています。寝ている時には、無意識にこの腹式呼吸をしています。

胸式呼吸では、息を吸う時に肋骨が広がり、肩が上がります。主に肋骨についている肋間筋という筋肉が働いています。立ったり、座ったりしている状態では、ほとんどの人が胸式呼吸をしています。

自分が腹式呼吸ができているか分からない方は、普段歌っている時のように声を出してみてください。限界まで長く声を出し続けた時、胸が痛くなれば、胸式呼吸、お腹が痛くなれば、腹式呼吸を行っていると言えます。

腹式呼吸は、歌う上で様々な利点があります。

腹式呼吸の主な利点は以下の3点です。

１．吸える息の量が増えます。胸式呼吸では、胸の周りに肋骨があるため、動ける範囲が限られています。腹式呼吸では、お腹の周りに骨がないため、たくさんの息を吸う事ができます。

２．吐く息の量を上手くコントロールする事ができます。ロングトーン（声を長く伸ばすところ）も安定しやすくなります。

３．胸式呼吸をすると首回りに余計な力が入り、歌に必要な筋肉の働きを邪魔してしまいますが、腹式呼吸では、余計な力が入らずに済みます。


まずは、腹式呼吸がどんなものか確認します。何度もやる必要は無く、腹式呼吸のやり方がなんとなく分かってきたら、次のメニューに進んでください。

１．仰向けになって寝てください。お腹の動きを確認するために、手をお腹の上に置き、ゆっくりと息を吐き続けて下さい。仰向けの状態では、自然と腹式呼吸になるので、お腹がへこんでいきます。（もしも自然とお腹がへこまないのであれば、意識してお腹をへこましてみてください）お腹のあたりがちょっと痛くなってきたら、お腹の筋肉をリラックスさせてみてください。自然に空気が身体の中に入り、お腹が膨らんできます。

お腹の動き、感覚を覚えるように意識しながら、これを数回繰り返してください。慣れてきたら息を吐く時に声を出してください。声の大きさは、あまり関係ありませんので出しやすい大きさにしてください。


２．立ったまま腹式呼吸をしてみます。お腹の上に手を当て、先ほどと同じように呼吸してみます。立った状態だと、腹式呼吸しにくくなりますので、意識して仰向けの時と同じようにお腹が動くようにします。

こちらも慣れてきたら声を出してみください。


次に歌の中で腹式呼吸を使えるようにしていきます。

ゆっくりなテンポの曲で、腹式呼吸だけを意識して歌ってみて下さい。

腹式呼吸の仕方が分かっても、いざ歌うとなると胸式呼吸に戻ってしまう方も多いと思います。意識して声を出す時にお腹がへこむようにしてください。

慣れてきたらテンポが早い曲にもチャレンジしてみて下さい。テンポが早く、息を吸える時間が短い曲では、胸式呼吸になりやすいので、特に注意が必要になります。

はじめの内は、意識しないと腹式呼吸にならないと思いますが、しだいに無意識でも腹式呼吸ができるようになります。

無意識でも腹式呼吸ができるようになったら、その後は、あまり腹式呼吸を気にする必要はありません。腹式呼吸ができているか時々チェックするだけでも十分です。


腹式呼吸は、歌う上で非常に重要で、身につける必要がありますが、過大評価されすぎている面があります。

昔のボイストレーニングでは、腹式呼吸がかなり重要視され、歌唱力をアップするのに万能の効果があると信じられてきました。

科学の進歩により、腹式呼吸が従来言われていたほど重要ではない事が分かりましたが、今も腹式呼吸が万能であるという考えが残ってしまっています。

特に問題があるのが、高音を出すためには、腹式呼吸の練習をすればいいとか、腹筋を鍛えればいいという考え方です。腹式呼吸をした方が喉をリラックスできるので、高音を出す事にも多少は関係していますが、一番重要な要素ではありません。また、腹筋を鍛えて無理やり高音を出そうとすると、喉を壊す可能性が高いので、絶対にやらないでください。（正しい高音の正しい出し方については「高音の出し方 練習法」をご覧ください。）


一度、腹式呼吸で歌えるようになったら、その後、腹式呼吸の練習に多くの時間を割く必要は無いと思います。歌え時間を削ってまで、腹式呼吸の練習や、腹筋のトレーニングをするのは、時間がもったいないです。

その時間を他のボイストレーニングに使った方がはるかに効率的に歌唱力をアップできます。


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